自然栽培野菜の採れたて宅配

ベジモについて

ベジモのはじまり

ベジモの創業は2008年。東京で建物の壁面や屋上の緑化を手がける会社に勤めていた僕が、農家に転身しようと地元の愛知県豊川市で新規就農したことからはじまりました。有機農業を仕事にしたいと思うようになったきっかけは、父が定年退職を機にはじめた家庭菜園です。父が農薬や化学肥料を使用せずに育てた、採れたての新鮮な旬の野菜を食べたとき、「野菜って、こんなにおいしかったんだ!」と、それまで感じたことのない濃い味わいにおどろいて、それ以来、帰省するたびに父の菜園を手伝うようになったのです。

そうして父の菜園で野菜を育てているうちに、有機農業は「おいしく安心安全」であるだけでなく、地球環境を持続可能にするための重要な役割を担っていること、そして農薬や化学肥料を使わないことで多様な土壌微生物たちが活発にはたらく畑で作業をする心地よさや楽しさにも大きな価値があることに気づきました。この有機農業を価値ある魅力的な仕事として未来へつなげていきたいと、農家への転身を決めたのです。

とはいえ、これまで一度も農業を学んだことのない自分が、農業を仕事にするにはどうすればよいのか、考えました。地元で40年以上有機農業を手がけてきた方から教えていただきながら創業し、同時に自分自身も含めた新規就農者が有機農業を学べる場をつくろうと、地元の専門的な知識を持った方たちに講師になってもらえるように働きかけ、2010年に「有機農業スクール」を開講しました。ここに集まった受講生は、新規就農者だけでなく、家庭菜園を学びたい人、慣行農業から有機農業へ移行したい人、有機農業をより深く学びたい人などさまざまでした。受講生同士の交流の中で「売る場所がなくて続けていけない」という悩みも生まれてきました。それなら自分たちで売る場所をつくろうと、仲間の農家13人で「豊川有機農業の会」を結成して朝市を開き、出荷できない規格外の野菜は加工品に使ってもらおうと、自社で移動販売をはじめました。今思うと、これがベジモの原点です。そこから15年、同じ思いを持った農家の仲間を増やしながら、栃木、広島、長野、京都へと拠点を広げてきました。そして、「ベジモ」という名前に込めた「ベジタブルをもっと!」という思いのもと、つくる人と食べる人がより良い関係を築くことのできる仕組みとは何かを考えながら、現在の「自然栽培野菜の採れたて宅配 ベジモ」へと変化を続けています。

VEGIMO代表 小林寛利

身土不二を大切に

ベジモは、「身土不二」という言葉を大切にしています。「身(体)と土は、二つにあらず」。人の身体と人が暮らす土地は切り離せないものであり、身近に育ったものを食べることが身体にとって一番良いとする古くからの食養の教えです。
「食べる人の一番近くの畑から、収穫した翌日にお届けする」ことにこだわったベジモの定期宅配も、この身土不二が原点です。

愛知県で創業した当初は、近隣の県に限定した宅配サービスでしたが、拠点が増えるにつれてお届けするエリアを広げてきました。理想は、食べる人が畑に直接野菜を取りに来られて、つくり手と会話ができるくらい身近な存在であってほしい。農薬も化学肥料もつかっていない微生物がたくさんいる栄養豊富な土と、イキイキと育ったバラエティ豊かな野菜たち、そしてさまざまな生きものたちがいる生物多様性に富んだ畑に来て、この心地よさを感じてほしい。食べる人とつくる人の距離をもっと近づけていくために、ベジモは全国に拠点を増やしていきたいと考えています。

種からこだわる
ベジモの自然栽培

ベジモは自然栽培を行っていますが、「有機栽培とどう違うのですか?」と聞かれることがよくあります。一般的に、有機栽培は原則として化学合成されていない農薬や肥料を使用する農法であるのに対し、自然栽培はさらに農薬や肥料には頼らず土壌中に微生物を増やし、多品種を栽培することで生物多様性を促すという、土と植物本来の力を引き出していく農法。ベジモが開講している「有機農業スクール」では、有機栽培・自然栽培を含めた有機農業全般が学べますが、生産する野菜においては、自然栽培の独自の生産基準「7つの約束」をもとに、自社農園から連携している生産パートナー農園まで、すべての農園でこれに取り組んでいます。

生産基準「7つの約束」

  1. 農薬・化学肥料・動物性肥料は使用しません。

    農薬や化学肥料はもちろん、有機JAS認定農薬や動物性肥料も使用しません。主に緑肥(雑草や刈草、緑肥用植物)を活用し、ベジモオリジナルの完全植物性肥料を必要なだけ、できるだけ減肥料で栽培しています。これによって植物や生物の自然な循環が生まれ、栄養たっぷりの良質な土壌となり、健康で元気な野菜が育ちます。

  2. 遺伝子組み換え・種子消毒された種子は使用しません。

    種苗の病害を予防するために化学的な薬剤で種子消毒された種を使用すると、土壌の生物多様性に少なからず影響を及ぼします。同じ理由から遺伝子組み換えが行われた種子も、人体や環境に対する安全性が不透明です。このことから、ベジモでは緑肥作物も含めたすべての作物において、遺伝子組み換え・種子消毒された種子は使用しません。

  3. できるだけ固定種・在来種・自家採種。育苗用土壌も有機のものを使用します。

    作物によっては、F1種と呼ばれる品種改良された種を使用することもありますが、できるだけ固定種、その土地にあった在来種、自家採種した種子を使用します。一般的な育苗用土壌は詳細が不明瞭な肥料が配合されていることもあるため、ベジモでは自社オリジナルの無肥料育苗用土壌を使用して種から苗を育苗しています。

  4. やむを得ない場合を除き、慣行苗・接ぎ木苗は使用しません。

    農薬や化学肥料を使用する農業のことを慣行農法と呼ぶのに対し、農薬や化学肥料を使用した苗のことを慣行苗といいます。ベジモでは、天候不順や天災などの理由でやむを得ない場合(過去15年においても数回です)を除き、すべての拠点で無農薬種子から自社オリジナルの育苗用土を使用して苗を育て、畑に定植する栽培方法で行っています。また、根と茎が違う野菜でつながれた接木苗は使用せず、自然な自根苗を使用しています。

  5. ポストハーベスト(収穫後、保存のために薬剤を使うこと)は行いません。

    作物を収穫してから、保存のために薬剤処理するポストハーベストは、有機JAS認定農薬も含めて一切使用しません。収穫したその日に発送、翌日に食卓にお届けするため、野菜が完熟してから収穫・出荷することができるからです。これも、ベジモの野菜がおいしい理由の一つです。

  6. 緑肥は活用します。地域の炭素循環に貢献する取り組みを推進します。

    畑に自然に生えてくる雑草や、野菜の収穫後に残った根、茎、葉なども土壌を豊かにするための貴重な有機物です。また、たとえば地域で余っている竹、国産建材として使用される材木の樹皮など、地域の炭素資源を積極的に活用することで土壌が豊かになり、二酸化炭素の削減につながります。緑肥作物やハーブなどのコンパニオンプランツも積極的に栽培することで、畑の多様性を高め健康で元気な野菜を育てられるように取り組んでいます。

  7. 自然な農業や農産物が身近な生活を「はじめやすく続けやすい」ように考え活動し続けます。

    有機農業や自然栽培野菜が特別なものではなく、あたり前に全国の食卓にお届けできるよう、日本各地に拠点を増やす活動をしています。お届けするボックスにも余計なチラシや広告を入れず、少しでも環境負荷を減らせるようにしているほか、野菜の変更のご要望にもできるだけ対応するなど、自然栽培野菜の定期宅配を「はじめやすくて続けやすい」ようにサービスを向上させていきます。

地球にもやさしく
社会にもやさしく

自然栽培は、自然環境にできるだけ負荷をかけない持続可能な農法と言うことができます。畑で使用された農薬や肥料は、その周辺に生息する生きものたちに何らかの影響を与えるだけでなく、じわじわと土壌の深くに染み込み、やがては海へと流れだして海の環境にも何らかの悪影響を及ぼしていく。自然農法は、農薬や肥料をできるだけ使用しないことで自然環境への負荷を減らすだけでなく、土壌中の微生物を増やし、多様な微生物たちが活発に活動することで、植物が大気中から取り込んだ二酸化炭素を、長く土壌中に閉じ込めることができます。また、微生物がたくさん生息する土壌は、網目の細かいスポンジのような柔軟性と耐久性を備えるため、大雨による土砂崩れなどの災害を起こりにくくしてくれる、周辺の水質を改善する、生態系を豊かにするなど、食べる人とつくる人にとっての安心安全だけではない副次的な効果をもたらし、環境課題の解決に貢献することができます。

そして、ベジモは「自然栽培は、つくる人自身の心と身体も元気にしてくれる」という考えのもと、創業当初から自然栽培を通じた農福連携事業にも取り組んできました。現在、愛知・広島・栃木の直営農園で、障がいのある方たちとともに生産や出荷を行なっており、代表の小林寛利は、10年にわたり培ってきた農福連携の知見を生かし、千葉大学の農福連携人材育成プログラムの講師を務めるほか、全国各地の農福連携事業のアドバイスも行なっています。また、2021年には、愛知県豊橋市にある循環器専門病院「豊橋ハートセンター」と協働で、予防医学の観点から農作業療法(グリーン・リハ)を行う農園「ハートファーム」の運営をスタート。自然栽培の畑をフィールドに地域の健康づくりに取り組んでいます。